小学校1年生の女の子が熱を出し、お母さんと一緒に来院されました。
昨日7歳のお誕生日だったのに、熱が出てしまったとのこと。
診察すると喉が赤くて…溶連菌の検査をすることに。
喉の奥を綿棒でこすって検査をするのですが…違う病院で小さい頃に同じ検査をして出血したことがあったそうで、それがトラウマになってしまったのか…なかなか大きく口を開けて検査ができません。
検査の仕方を説明し、
血は出ないよ。
柔らかい綿棒だから大丈夫。
大きく開けていればすぐ終わるよ。
と、私とお母さんで何度も説得するのですが…
うん。うん。と聞いてくれるものの、いざ綿棒を口の中に入れようとすると、どうしても恐怖が襲ってきます…
大丈夫。
3秒で終わるよ。
痛くないよ。
せーのっ。
と声かけをしても、やっぱり口を開けられない!
そんな押し問答が何度も、何分も続きました。
そのうち、おそらく、頑張ろう!頑張りたい!と思う気持ちと、
できない!
やっぱり怖い!
という自分の気持ちの歯痒さからか、静かに声も出さずポロポロと涙が溢れてきてしまいました。
看護師が頭を押さえ、お母さんが身体を押さえ、無理やりにやってしまう。という選択肢もあります。検査や注射を目の前にした時、子どもたちに一度恐怖が出てきてしまうと、時間が経てば経つほど、アタマの中の恐怖はどんどんどんどん大きくなってしまいます。
そういう時は時間勝負。
サッと押さえてサッと終わらせてしまう。という選択をした方が良い場合もあります。
でも、目の前で黙ってポロポロ泣きながらも、一生懸命に自分の気持ちと戦っている彼女を見ていたら、トコトン付き合ってあげたい!と思いました。
大丈夫だよ。
痛くないよ。
抑えないでやるから、自分で出来ると思ったタイミングで口を開けてみて。
深呼吸してみよう。
色々な言葉をかけ続け…
やっと。やっと。やっと。出来ました‼
私も看護師もお母さんも大拍手(^_−)−☆
痛みもなく、上手にできたはずなのに…終わった途端、さらに溢れてきた涙涙涙。
克服の涙!
う〜ん…愛おしい‼
子どもたちの頑張ろうとする姿。色んな想いで成長していく姿は本当に愛おしい。
小児科医やっててヨカッた‼と心から思える瞬間。
お母様からは、『こんなに待ってくださる先生は今までいなかったです。ありがとうございました。』と感謝のお言葉をいただきましたが…
いえいえ、こちらこそ。
お子様の素敵な一瞬を共有させていただきありがとうございます!です。
そして、その感謝の言葉より…
検査結果が出て、もう一度診察室に入ってきたときに、その子はもうすっかり泣き止んでいて、すがすがしい顔。
私『クスリは粉にしますか?シロップ?もうそろそろ粒(錠剤)も飲めるかな?』の質問に…
母『まだ粒は飲んだことがないので粉でお願いします。』
に続いて…彼女がすぐに…
『粒で飲んでみる!』
と、新しいチャレンジ宣言!
(≧∇≦)
こうやって、子どもたちは、自分の気持ちや行動を自分自身で肯定しながら、一歩一歩成長発達していくのだなぁ〜…T_T
と改めて勉強させていただき。
子どもたちの力強さを
心より嬉しく逞しく思うのでした。
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