子どもの胃腸炎とは
子どもの胃腸炎とは、胃や腸の粘膜に炎症が起こり、嘔吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が現れる疾患です。乳幼児や小児では比較的よくみられる病気の一つで、保育園や幼稚園、学校などの集団生活の中で感染が広がることがあります。
胃腸炎の原因にはさまざまなものがありますが、子どもの場合はウイルスによる感染(ウイルス性胃腸炎)が最も多いとされています。特に冬季にはノロウイルスやロタウイルスなどによる胃腸炎が流行することがあります。
子どもの胃腸炎では、突然の嘔吐から症状が始まることが多く、その後に下痢や腹痛が続くことがあります。症状は通常数日で改善することが多いですが、嘔吐や下痢によって体内の水分が失われるため、乳幼児では脱水症状に注意する必要があります。
また、子どもは症状の変化を自分で説明することが難しいため、保護者の方が体調の変化をよく観察することが大切です。
ウイルス性胃腸炎とは
ウイルス性胃腸炎とは、ウイルスが胃や腸の粘膜に感染して炎症を起こすことで、消化器症状が現れる感染症です。小児では非常に多くみられる疾患で、特に秋から冬にかけて流行することが知られています。
主な症状には次のようなものがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 食欲低下
- 倦怠感
ウイルス性胃腸炎では、突然の嘔吐から始まり、その後に下痢が続くという経過をたどることが多いとされています。嘔吐は1〜2日ほどで落ち着くことが多いですが、下痢は数日から1週間ほど続くことがあります。
ウイルス性胃腸炎の原因となる主なウイルスには次のようなものがあります。
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
- サポウイルス
これらのウイルスは感染力が強く、少量のウイルスでも感染することがあります。そのため、家庭内や集団生活の中で感染が広がることがあります。
ノロウイルス胃腸炎とは
ノロウイルスは、ウイルス性胃腸炎の原因としてよく知られているウイルスの一つで、特に冬季に流行することが多い感染症です。感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染することがあるため、集団感染が起こることもあります。
ノロウイルスに感染すると、次のような症状がみられることがあります。

- 突然の嘔吐
- 水のような下痢
- 腹痛
- 微熱
- 倦怠感
特に子どもでは嘔吐が強く出ることが多く、短時間のうちに何度も吐くことがあります。嘔吐は通常1〜2日ほどで落ち着くことが多いですが、その後も下痢が続くことがあります。また、ノロウイルス感染症では症状が改善した後もしばらく便の中にウイルスが排出されることがあるため、症状が落ち着いた後も感染対策を続けることが重要です。
ウイルス性胃腸炎の感染対策
ウイルス性胃腸炎は感染力が強く、家庭内や保育園などの集団生活の中で感染が広がることがあります。そのため、日常生活の中での感染対策が重要になります。
まず大切なのは手洗いの徹底です。外出後や食事前、トイレの後、嘔吐物の処理を行った後などには、石けんを使ってしっかり手を洗うことが大切です。
また、次のような対策も感染予防に役立ちます。
- 嘔吐物や便を適切に処理する
- ドアノブやトイレなどを消毒する
- タオルや食器の共有を避ける
- 室内を適度に換気する
特にノロウイルスはアルコール消毒が効きにくい場合があるため、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)による消毒が推奨されています。
嘔吐物の処理を行う際には、使い捨て手袋やマスクを着用し、感染が広がらないように注意することが大切です。
ウイルス性胃腸炎の検査・診察・治療
医療機関では、まず症状や経過を確認する問診と診察を行います。嘔吐や下痢の回数、発熱の有無、水分がとれているかなどを確認し、脱水症状の有無を評価します。必要に応じて、ノロウイルスなどを調べる検査が行われることもあります。ただし、症状からウイルス性胃腸炎と判断されることも多く、すべてのケースで検査が必要になるわけではありません。
ウイルス性胃腸炎には特効薬となる抗ウイルス薬はなく、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
主な治療としては次のようなものがあります。
- 水分補給(経口補水液など)
- 整腸剤の使用
- 吐き気止め(必要に応じて)
- 解熱薬
最も重要なのは脱水症状を防ぐことです。嘔吐が落ち着いた後は、少量ずつこまめに水分を補給することが大切です。
乳幼児では脱水が進みやすいため、次のような症状がみられる場合には早めに医療機関を受診することが望ましいです。
- 水分がほとんどとれない
- 尿の量が少ない
- 元気がなくぐったりしている
- 呼びかけへの反応が弱い
症状の多くは数日で改善しますが、体調が回復するまで無理をせず十分に休養することが重要です。
ウイルス性胃腸炎のよくある質問
子どものウイルス性胃腸炎はどれくらいで治りますか?
子どものウイルス性胃腸炎は、一般的には数日から1週間程度で回復することが多いとされています。症状の経過としては、突然の嘔吐から始まり、1〜2日ほどで嘔吐がおさまり、その後に下痢が数日続くことがよくみられます。下痢の回数は徐々に減り、食欲や元気も少しずつ回復していくことが多いです。ただし乳幼児の場合は嘔吐や下痢によって体内の水分が失われやすく、脱水症状に注意が必要です。水分がほとんどとれない、尿の量が少ない、ぐったりしているといった様子がみられる場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
ウイルス性胃腸炎のとき、食事はどうすればよいですか?
嘔吐が続いている間は無理に食事をとる必要はなく、まずは水分補給を優先することが重要です。嘔吐がおさまってきたら、消化にやさしい食事から少しずつ再開します。おかゆやうどん、スープなどの胃腸に負担の少ない食事が適しており、脂っこい料理や刺激の強い食べ物は症状が落ち着くまで控えることが望ましいです。また、一度に多く食べると胃腸に負担がかかるため、少量を数回に分けて食べるようにすると体調に合わせて食事を進めやすくなります。食欲が戻るまで無理をせず、体調を見ながらゆっくり食事を再開することが大切です。
子どもの嘔吐や下痢があるとき、どのタイミングで受診すればよいですか?
ウイルス性胃腸炎では自宅で様子を見ることができる場合もありますが、症状によっては医療機関の受診が必要になることがあります。たとえば嘔吐が何度も続いて水分がほとんどとれない場合や、ぐったりして元気がない場合、尿の量が少ない場合などは脱水症状が進んでいる可能性があります。また高い発熱が続く場合や血便がみられる場合にも注意が必要です。子どもは症状の変化をうまく伝えられないことが多いため、普段と様子が違うと感じたときには早めに医療機関へ相談することが安心につながります。
ウイルス性胃腸炎は兄弟や家族にうつりますか?
ウイルス性胃腸炎は感染力が強く、家庭内で感染が広がることがあります。原因となるウイルスは嘔吐物や便の中に多く含まれており、それらに触れた手や物を介して感染することがあります。また、嘔吐の際に飛び散ったウイルスが周囲に付着することで感染が広がることもあります。そのため、家庭内では手洗いをしっかり行い、嘔吐物や便の処理を適切に行うことが重要です。症状が落ち着いた後もしばらくの間は便からウイルスが排出されることがあるため、回復後も一定期間は感染対策を続けることが大切です。
ウイルス性胃腸炎のとき、お風呂に入っても大丈夫ですか?
子どもの体調が比較的安定しており、発熱や強い倦怠感がなければ短時間の入浴は可能なことが多いとされています。ただし嘔吐や下痢が続いている場合は体力が低下していることが多く、長時間の入浴は体に負担となることがあります。そのため入浴は短時間にとどめ、体調を見ながら無理のない範囲で行うことが大切です。また入浴後には水分補給を行い、脱水にならないよう注意することが重要です。体調が優れない場合には無理に入浴をせず、体を拭く程度にとどめることも一つの方法です。
ウイルス性胃腸炎のとき、保育園や学校はいつから行けますか?
保育園や学校に通い始める目安としては、嘔吐や下痢などの症状が落ち着き、普段どおり食事や水分がとれる状態に回復していることが重要です。子どもが元気に活動できる状態であることも判断の目安になります。胃腸炎の症状が強い間は体力が低下しているため、無理に登園や登校をすると体調が悪化することがあります。症状が落ち着いたあとも体調が安定しているかを確認し、無理のないタイミングで日常生活へ戻ることが望ましいです。また施設ごとに登園基準が定められていることもあるため、必要に応じて保育園や学校のルールを確認することも大切です。
ウイルス性胃腸炎は何度もかかることがありますか?
ウイルス性胃腸炎は原因となるウイルスの種類が多いため、一度かかっても別のウイルスに感染して再び胃腸炎を発症することがあります。特に乳幼児や小児では免疫がまだ十分に発達していないため、集団生活の中で複数回感染することも珍しくありません。また同じウイルスでも完全な免疫が長く続かない場合があり、数年後に再感染することもあります。そのため、日頃から手洗いを習慣にすることや、体調管理を心がけることが感染予防につながります。家庭内でも感染対策を行うことで、家族内での感染拡大を防ぐことが期待できます。